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ジタクの備え 2024.10.23
オギノ 商品の安定供給で生活守る 一般家庭の食料補充も推奨
地震や台風など大規模な災害が発生した場合、被災者の生活を支える上で重要なのが、食料品や日用品の安定供給だ。県内外47店舗を展開する食品スーパーのオギノ(本部・甲府市徳行1丁目)は、非常食や水などの生活必需品を豊富に備蓄。事業を早期再開するための事業継続計画(BCP)策定など、災害時に商品流通を止めない体制を構築。また、災害に備えて食料を備蓄しつつ、普段の生活で使用する「ローリングストック」の普及啓発など、一般家庭でも日ごろから災害に備えることの大切さを呼び掛けている。
オギノは地震や台風、火山噴火など多様化する災害に備え、被災時に事業を早期再開するための事業継続計画(BCP)や対応マニュアルを策定している。各地域の中核となる店舗には自家発電を設置し、停電時に対応。従業員向けに年2回の防災訓練を実施するなどして、災害に強いスーパーを目指している。
平時から各店舗に安定的に商品を納入するため、物流センターシステムを導入。メーカーや工場、市場などから仕入れた商品をいったん、「生鮮食品」「加工食品・住居関連」「衣料品」の三つのセンターに集約してから、各店舗に配送している。加工食品・住居関連品は通常販売する分を含め常時18万箱の在庫を確保。肉や魚、野菜などの生鮮食品は、冷凍やチルドの状態で2、3日分の販売量の在庫を備えている。
特に最近は、全国で台風や豪雨災害が頻発。気象情報に応じて一時的にニーズが高まる食料品などが不足しないように、迅速に対応する仕組みを強化している。商品の在庫に厚みを持たせるとともに、安定的に仕入れが見込めるプライベートブランドの導入にも力を入れている。
また、災害時に最も懸念されるのが道路網の寸断による物流への影響だ。同社は、通常利用している物流センター以外に、各協力企業からも物資を運び入れるシステムを構築。さらに緊急車両の申請を迅速に行い、優先的に各店舗に物資を届ける体制を整えている。
現在、県や県内10市町村との間に防災協定を締結。災害時には、同社が保有する食料品や毛布などの生活物資を優先的に被災地域に届ける。また、状況に応じ駐車場を避難所として開放する店舗もある。携帯電話の事業者と連携して移動基地局の設置に協力する他、店舗の営業再開や商品情報を、支援協定を結ぶラジオ局から発信する。
同社は家庭の備蓄意識を向上させる取り組みにも力を入れている。その一つとして、水や缶詰など長期保存できる食材を多めに購入し、日常生活で使った分をその都度買い足すことで、常に新しいものをストックできる備蓄法「ローリングストック」を推奨。定期的な特設コーナーの設置やチラシ広告などで普及に努めている。
店舗運営部の金子浩総括マネジャーは「皆さまに商品を安定的にお届けするのがわれわれの使命。災害時にも供給を止めないよう備蓄を進めていますが、お客さまにもローリングストックなど日ごろの備蓄に努めていただけるよう、啓発に積極的に取り組んでいきます」と話している。