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ジタクの備え 2024.10.23
南海トラフ地震 県内の死傷者1.9万人想定 家具固定で人的被害軽減
山梨県では、南海トラフ地震の発生により、大きな被害が予想されている。県内では最大震度7の地震が発生し、強い揺れや火災などで、最大約6万棟が全壊・全焼し、県全体で最大で1万9千人程度の死傷者が出ると予想。県の想定では、住宅の耐震化や家具の固定を進めることで、人的被害を大幅に減らせるとしている。
県が公表している大規模地震に関する被害想定調査結果によると、南海トラフ地震は、駿河湾から紀伊半島近辺にかけてを主な震源域とする「東側ケース」で、マグニチュード(M)9級を想定。比較的震源に近い県中西部の揺れが大きく、一部の地域で最大震度7の強い揺れが想定されるという。
人的被害は、死者3019人、負傷者1万6254人と想定。避難者も最大で14万329人に上るとみている。このほか、建物被害は全壊が6万17棟、半壊が5万7951棟と予想。ライフラインの被害も大きく、上水道の断水で39万1676人に、停電では62万3786人に影響が出ると想定される。
県が示した「防災施策による被害低減効果」では、建物の耐震化により、揺れに伴う全壊棟数を85%減らせるほか、「建物被害に伴う死者発生をゼロに近づけることができる」と明記。食器棚や冷蔵庫など家具の固定を進めることで、死者を60%減らせるとしている。
県は、南海トラフ地震など、大規模災害に備え、耐震化や家具固定、水・食料の備蓄など事前の備えを推奨している。
南海トラフ地震とは
駿河湾から日向灘沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)に沿って起き、おおむね100~150年間隔で発生しているとされる地震。政府の地震調査委員会は、M8~9級の地震が30年以内に起きる確率を70~80%と算出している。最大30㍍超の津波を引き起こす恐れがあり、国は死者を最大32万3千人と推計している。