• ライフスタイル 2024.03.19

人気の平屋 コスト抑えコンパクトに

物価高や家族構成の変化などにより、最近は30坪以下のコンパクトな平屋が注目を集めています。
コストを抑えながら希望の間取りを実現するポイントを、丸正渡邊工務所(甲府市青葉町)の渡邊正博社長に聞きました。


四角い外観、無駄を省く

コストを抑えて効率的な間取りの平屋を作るためのポイントとして第一に挙げるのは、家の形を矩形にすることです。
矩形とは、四つの角がすべて直角である四角形のこと。
渡邊社長は「家の形を凸凹にすると壁の表面積が増えてコストがかかってしまいますが、矩形にすることで壁の部分を減らし、コストを抑えられます。
まずは矩形で良い間取りを作っていくことを目指しましょう」と話します。


廊下を少なく

廊下を少なくするというのもポイントです。
部屋と部屋の間を区切るという機能だけではなく、洗面スペースを置くなど廊下に別の機能を持たせることで、スペースを有効活用することができます。

同社の平屋の施工例を紹介します。夫婦と子供一人の3人で暮らす平屋は、LDKと寝室、子ども部屋のほかに、本棚に囲まれた夫の趣味室と、妻の着付け用の和室、ウオークインクローゼット、屋内テラスを設け、建坪は約30坪に抑えました。

廊下は玄関のホールにあるだけで、他には設けていません。
玄関ホールからリビング、ダイニング、キッチンに向かうには、趣味室か和室を廊下代わりに通り抜けるように設計しました。
和室が連続する間取りが多い日本家屋のように、廊下を介さないで部屋を移動するイメージです。
回遊性もあり、狭さを感じづらいポイントにもなっています。
一方、子ども室と寝室へは、家族3人の共有スペースとなるウオークインクローゼットを廊下として通って行きます。


暮らしをイメージ

「『趣味部屋は常時誰かがいるというのは考えにくい』とか『趣味部屋のカウンターで本を読んでいる後ろを、家族が通るのを想像できる』とか―。暮らしをイメージしていくことが、無駄を省いた間取りを実現させるコツです」と渡邊さん。
本当に必要なスペースなのかどうかを常に考えることが大切です。

天井を高くして開放感を持たせるのも、2階建てにはできない平屋ならではの工夫です。
また、スペースを無駄にしないように収納は造作家具にすることもポイントです。 

家の形を矩形にして外観をシンプルにした一方で、部屋ごとの仕上げに変化をつけています。
小さな石の粒が入ったポーターズペイントで仕上げた壁をはじめ、ラーチ合板を玄関に使ったり、タイルを洗面所に使ったりし、外観と内装のギャップが楽しい家になりました。
渡邊さんは「内装を同じ質感にそろえると、空間に落ち着きが出ます。
異素材を楽しむか、質感をそろえるか、スタイルに合わせて家づくりを進めてください」と話しています。


設計:S PLUS ONE 建築設計事務所

施工:丸正渡邊工務所(本社:甲府市青葉町10の13)

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