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間取り研究室 2023.07.26
快適な広さの平屋、2階建て、2世帯住宅 ~夫婦2人の暮らしにちょうどいい間取り~
子どもが成長して巣立った後など、広すぎる家は掃除や維持・管理が大変です。夫婦2人にちょうどいい、快適な広さの間取り例を紹介します。
間取り例A
退職後の夫婦2人暮らしで住む間取り
間取り例Aは退職後の夫婦2人が住むことをイメージした平屋です。生活動線が短く、バリアフリーになっていることが特徴です。インナーガレージを設け、雨にぬれずに車と玄関とを行き来できます。広々としたガレージには収納を備え、車のメンテナンスをガレージ内で行うことができます。
玄関を入るとリビング・ダイニング・キッチン(LDK)につながり、LDKには大容量のパントリーを備えています。寝室はダブルベッド2台を置ける約9畳の広さを確保しています。寝室からトイレ、脱衣所・浴室にすぐに行ける配置にし、トイレは間口の広い引き戸にして車いすでも利用できるようにしています。脱衣所にはハンガーが掛けられるスペースを設け、洗濯機から出した洗濯物をそのまま干すことができ、家事の負担を軽減します。
寝室の隣には書斎を設けています。寝室の南側と西側は掃き出し窓を採用し、車いすを使うことになった場合にはデッキ部分からスロープを付けることで、寝室から外に出られる計画も盛り込んでいます。建坪は約26.9坪(ガレージ部分6.5坪、居住部分20.39坪)で、費用は約2000万円。
間取り例B
夫婦2人、子ども用ゲストルームと土間のある間取り
1階
2階
コロナ禍以降、家で仕事をする人が増えてきました。間取り例Bは、夫婦2人が居住し、家で仕事ができるワークスペース、時々帰ってくる子どもが使えるゲストルームを備えた2階建てになります。
玄関を入ると土間になっています。土間は夫の〝遊び場〟や作業スペース、自転車置き場など、さまざまな目的で利用できます。土間にはまきストーブを置き、日本家屋に古くからある小上がりを設け、ちょっと座るのにも便利です。
玄関からはリビングにつながります。リビングとダイニングキッチンの間に設けた階段は、下5段ほどに壁を作っていません。壁の横幅が約1㍍短くなることで、リビングとダイニングキッチンを仕切りながらも、より広々と見せることができるからです。
建物の南側だけでなく北側にもデッキを設けたことも特徴の一つです。北側に植えられた木々を眺めたり、庭でバーベキューをしたりすることができます。みそなどを収納できる食品庫も北側に設けています。
1階をゲストルームにして、2階は寝室とワークスペース、1階リビングの吹き抜けになっています。建坪は33.17坪(1階25.66坪、2階7.5坪)で、費用は約3300万円。
間取り例C
ストレスなく2世帯住宅で暮らせるように工夫した間取り
間取り例Cは2世帯住宅です。住宅の立つ敷地は約3㍍の高低差がある傾斜地のため、スキップフロアを用いて、1~2階に4フロアになるように設計しています。玄関は道路のある北側に配置しています。玄関を入り、右側に玄関と同じレベル(水平面の高さ)で親世帯の寝室を2部屋設けました。夫婦いずれかが寝たきりの場合や、快適な睡眠の確保のため、夫婦の寝室を別々にするケースがあるといいます。トイレ、浴室・脱衣所は、親世帯の寝室から近い場所に配置しています。
玄関を入り、左側には玄関と同じレベルで親・子世帯共有のダイニング・キッチン(DK)があります。DKから6~7段の階段を下がった1階に子世帯の居室、DKから6~7段の階段を上った2階にリビング、リビングからさらに6~7段の階段を上がった2階に子世帯の居室2室を設けています。親・子世帯合わせて6人の居室スペースを確保しています。
南側の隣地が下がっているので、親世帯の1階寝室や2階リビングからは富士山を眺望できます。
2世帯住宅の場合、1階を親世帯、2階を子世帯に分けるパターンがありますが、2階の音や振動が1階の親世帯の居住部分に伝わることがあります。この間取りでは、大まかに東西で分け、親世帯の居住部分を西側1階、子世帯の居住部分を東側の1階と2階にすることで、子世帯の音や振動が親世帯に影響しないようになっています。生活リズムの異なる親世帯と子世帯が共にストレスなく暮らせるように工夫しています。建坪は41.52坪(1階28坪、2階13.5坪)で、費用は約4000万円。
小澤文明さん
株式会社小澤建築工房(甲府市)
代表取締役