• 間取り研究室 2022.04.21

土間を取り入れた間取り

土間は室内と室外をゆるやかにつなぐスペース。使い方次第で暮らしに可変性が生まれます。土間を取り入れ、コンパクトながらも広がりを感じさせる間取りの実例を紹介します。


間取りA・中庭が明るく、開放的な空間演出

間取りAは平屋の住宅です。なるべく窓を少なくして、近隣からの視線を遮断し、プライバシーを確保しています。外からは閉じた印象に見えるデザインですが、家の中では家族の時間をゆったりとした気分で満喫できるように設計されています。

北側のポーチから玄関を入った所に、モルタル塗りの土間を設けました。ここからウッドデッキのある中庭や、LDKへと続いています。土間は、家具や趣味の物などを置いて、お気に入りのコーナーをつくることができます。さらに、ウッドデッキと室内を仕切る掃き出し窓を開けると一続きのスペースになり、開放的な雰囲気を楽しめるという魅力があります。

南東にある広さ約10畳の中庭は、室内を明るくする役割を担っています。外壁で囲われていますが、屋根がないため、晴れた日はさんさんと陽光がふりそそぎます。また、風の流れを感じられる心地良い場所になっています。

中庭では人目を気にすることなく、バーベキューを楽しんだり、夜はウッドデッキに腰掛けて星を眺めたりと、思い思いの時間を過ごすことができます。また、土間に面したキッチンにはバーカウンターを設置しました。夜、ここから中庭を見ると、要所に取り入れた間接照明の効果もあり、大人のためのおしゃれな空間になっていることを実感できるでしょう。

駐車場のある北側以外、敷地を最大限に有効活用した建物のレイアウトにしました。間取りに可変性を持たせる点も重視していて、子ども部屋は仕切りをして2部屋にすることもできます。 

キッチンとダイニングを家の中心にして、洗面所や脱衣室、クローゼットなどとつなげることで、家事動線に回遊性を持たせています。

寝室や子ども部屋、脱衣室の物干しスペースにある窓は、道路からの視線が気にならないように高めの位置につけてあります。床や天井には無垢材を使用。間接照明を随所に取り付けることで、デザイン的にも飽きがこない、長く住み続けられる住宅になっています。


間取りB・2階のLDKからの眺望は抜群

間取りBは南向きで、日当たりがいい2階建てのお宅です。住宅の東に道路が走っているため、東側の窓は1階エントランス脇の低い場所にある地窓だけ。窓の配置の工夫により、外からの視線を遮っています。

建坪が20坪に満たないコンパクトな住宅ですが、内部を広く、開放的に見せる工夫をしています。1階エントランスを入ると、特徴の一つであるタイル敷きの土間が続き、突き当たりにウオークインクローゼット、西側にフリースペースと寝室があります。

土間は、植物などを置いて中庭のように使うこともできるほか、趣味の部屋として、またフリースペースとつなげて事務所にするなど、住む人次第で自由な使い方ができます。

土間から2階に上る階段は、鉄骨造りのストレート・スケルトン階段です。おしゃれ度が上がるデザインで、蹴り込み板がないため圧迫感がなく、スペースを広く見せる演出になっています。

間取りBのもう一つの特徴は、2階にリビングとダイニングキッチンを配置した点です。周囲の山々の眺めを満喫できるように、南側に大きめのサッシ6口が連なる連窓を設置。食事をしたり、リビングでくつろいだりするときに、富士山や南アルプスを一望できます。

ダイニングキッチンは、キッチンカウンターにつなげるようにダイニングテーブルを置くことを想定しています。パントリーからキッチン、テーブルまで1列になり、食事の準備や配膳、片付けがスムーズにできます。

プライバシーを守り、伸び伸び暮らせる住宅という観点から、間取りA同様、窓は少なめ。特に北側には窓を設けていません。独自の換気システムを取り入れているので、水回りに窓がなくても湿気がこもらないような工夫が施されています。


<解説>
齋藤 亜紀子さん

enduno(南アルプス市)
一級建築士

失敗しないシタク