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ジタクのシタク塾 2022.04.20
木造、鉄骨…、建築工法は何を基準に選ぶ?
一戸建て住宅の購入は人生の中でも大きな買い物の一つとなります。それだけに、誰もが満足できる住宅を建てたいと考えるでしょう。
理想のマイホームを建てるために考えなければならないことの一つに建築工法があります。採用する建築工法によって住宅コストや実現しやすい間取りなどが異なるためです。
住宅建築のプロで構成する日本建築家協会山梨地域会の奥村一利代表に、建築工法の主な種類や特徴などを聞きました。
①木造在来工法
夏は涼しく冬は暖かく 断熱性高く光熱費抑制
木造在来工法は、日本古来の建築工法で、木の柱と梁で骨組みを組むことが最大の特徴です。木材は湿気が高いと空気中の水分を吸収し、乾燥していると逆に吐き出す性質があるため、夏は湿気を抑えることで涼しく感じ、冬は乾燥を抑え少し暖かく感じられます。
また、柱とする木材は、品質や種類によって価格が大きく異なり、柱1本で数千円~数十万円とばらつきがあります。比較的安価に住宅を建てることも可能ですが、品質や種類にこだわるとコストがかさむこともあります。木材は断熱性も高いため、光熱費などを抑える効果も期待できます。
さらに、木造は燃えやすいというイメージが強いと思いますが、最近の住宅は外装材や内装材に燃えにくい素材を使っていて、一定の防火性能があります。たとえ柱に火が付いても太い柱は表面が炭になり、すぐに中まで燃えることはありません。
②木造枠組壁式工法(ツーバイフォー工法)
耐震性を確保しやすい 材料規格化、施工ミス減
木造枠組壁式工法(ツーバイフォー工法)は木材や釘などが規格化された合理的な工法で、米国から伝わったものです。厚さ2㌅(約5㌢)、幅4㌅(約10㌢)の角材を組み合わせて使っていたことが名称の由来です。
柱で建物を支える在来工法とは異なり、合板と角材を組み合わせた壁を並べることで建物を支えています。点ではなく面で住宅を支えているので、耐震性を確保しやすいです。
材料が規格化されているため、特別な加工などは必要にならないことが多く、住宅建築に掛かるコストを抑えやすいことも特徴です。加えて、職人による技術の差も生じにくく施工ミスなどのリスクも多少軽減できます。
③鉄骨組工法
自由な間取りが可能に 部屋を広く見せやすい
鉄骨組工法は、鉄の柱や梁で骨組みを造る工法です。
使用する鉄骨の厚さが6㍉未満の軽量鉄骨造と、6㍉以上の重量鉄骨造があります。木材と比べ鉄の強度が高いため、在来工法と比べると柱の数を減らしやすく比較的自由な設計が可能です。
2階の部屋が一部分だけ大きくせり出した住宅や、全面にガラスを張った部屋を設置することもできます。 軽量鉄骨は重量鉄骨に比べれば、使用する鉄の量が少なく済むので、コストも抑えることができます。壁を薄くしても安全性を確保できるため、部屋を広く見せやすいのも利点です。
④鉄筋コンクリート工法
遮音・防耐火性に優れる 耐久力高く衝撃に強い
網目状に組んだ鉄筋を型枠で囲みコンクリートを流し込み固めるのが鉄筋コンクリート工法です。
コンクリートは重く固いため、耐久力が高く、衝撃に強いです。遮音性も高く、防耐火性にも優れるため、マンションで採用されることも多いです。 鉄骨組工法と同様に、建物の構造の自由度が高く、軒や屋根の勾配がないフラットな形状にすることもできます。
比較的コストが高くなりやすいですが、コンクリートの質感をそのまま生かした打ちっ放しなどオリジナリティーが高い建物にしやすいです。
ジタクのシタク塾講師
奥村 一利さん
一級建築士
日本建築家協会山梨地域会代表
県建築士事務所協会副会長
馬場設計(甲府市)取締役