• 間取り研究室 2022.02.02

暮らしの動線を重視した間取り

新しい住まいに望むことは一人一人異なっています。
動線を重視し、住む人にとって心地いい暮らし方を間取りに反映した実例を紹介します。


間取りA・回遊性のある家事動線

最初に紹介する間取りAは、仕事をリタイアした夫婦向けの平屋です。
家事を中心に考えた生活のしやすさを優先しました。
浴室・洗面脱衣室を家の中心に配置し、玄関ホールからダイニングキッチン(DK)、洗面脱衣室、ウオークスルークローゼット、寝室、リビングと、家全体をぐるりと回ることができます。

リビングの掃き出し窓は大きな一枚ガラス。
全開口できるので、植栽やウッドデッキといった外部と室内とが一体化します。
窓は通常より高い位置に取り付け、周りからの視線を遮っています。
DKの椅子に腰掛けると、目線より少し高い位置に窓が広がり、庭の植栽や空を眺めながらくつろぎの時間を過ごせます。

勝手口や食品庫を設けることで、キッチンの整理収納やごみ処理の利便性を高めました。
収納は各部屋に確保。ガス乾燥機を利用するという施主の希望で、洗濯物は乾燥機から取り出し、ウオークスル―クローゼット内のカウンターで畳み、そのまま収納します。

ライフスタイルの変化も考慮し、間取りに「可変性」も持たせました。
一例として、寝室から南隣のリビングにベッドを一台持ち出すと、それぞれ一人の時間を楽しめる間取りに変更できます。


間取りB・玄関に手洗い場やお出掛けセット

子育て世代の生活を大切にしているのが間取りBです。
コロナ禍を反映して玄関ホールに手洗い場を設け、シューズクロークには通学・通園用のお出掛けセットやコートなどを掛けるスペースを確保。全身が映る鏡を用意することで、外出がスムーズになります。

帰宅→ウオークインクローゼット(WIC)→トイレ→洗面(脱衣)室→LDKと、着替え・収納・手洗いが一続きになる動線を作りました。誰にも気兼ねなく洗面室を使い、入浴できるように、洗面室と脱衣室を別室にしています。

その隣には室内物干しと屋根の懸かった外部物干しを配置。
乾いた洗濯物を室内物干しの中で畳み(アイロン掛けも可)、そのままWICに収納します。

キッチンの目の前にピアノ室(防音室にできる)や子どもスペースを設けているので、料理をしながら子どもの様子を見守ることができます。

小上がりの和室は来客用に、また子どものお昼寝用にと多目的に使用でき、2階には寝室や子ども室の他、希望の書斎を用意。一人一人の自宅での過ごし方を意識した間取りになっています。


間取りC・浴室、洗面室を2階に設置

最後に紹介する間取りCは、コストを重視した総2階建てのお宅で、2階に浴室と脱衣所、洗面室を設置しています。
洗面室や浴室などの水回りは、寒い時季に冷え込む北側に計画されがちですが、2階に配置することで、南に面した明るく気持ちよい空間にすることができます。
今回は洗濯スペースもその一部に確保しました。取り込んだ衣類はその場でアイロンを掛け、畳み、同階にある主寝室や子ども室のクローゼットへ素早く収納できます。

1階にはLDKとつながる和室や子どもが遊ぶスペース、玄関のシューズクロークの奥に、釣りを楽しむ夫のための趣味室を設けました。
玄関から勝手口までの回遊性も確保しています。雨の日でも濡れずに、駐車場からキッチン、食品庫へ荷物を持っていくことができます。


遠藤 千春さん

Vent計画設計室(甲府市)
一級建築士・インテリアコーディネーター

失敗しないシタク