• ジタクのシタク塾 2024.07.24

年齢を重ねた時に快適に過ごす家づくりとは? ~ライフスタイルに合わせて変化する家づくり~

ライフステージやライフスタイルの変化により、マイホームでの暮らし方は変わってきます。
子どもの成長や独立、家族の介護など、将来を見据えてマイホームの計画を立てたいものです。
ライフスタイルの変化に合わせながら、快適に暮らすためのポイントを専門家に聞きました。


身体状況考慮し快適に 長く過ごす場所を充実

身体機能の低下や病気、認知機能の衰えなど、年齢を重ねるにつれて思うように動けないことが増えてきます。
毎日の生活を安全に、快適に過ごすためのマイホームづくりについて、福祉住環境コーディネーター1級で、1級建築士の資格を持つ伊東工務店(甲府市国母2丁目)の伊東誠三さんは、年齢や機能の衰えなどを考慮した住まいづくりを提案しています。 

シニア世代になった時の暮らしを見越して新たにマイホームを建てる場合、
伊東さんは、生活スタイルと生活動線を考慮して部屋の配置を大まかに考える
「ゾーニング」を行ってから間取りを決めることを勧めます。

一般的に、高齢になると自宅にいる時間が長くなります。
特にリビングや寝室は、一日の大半を過ごす場所になるため、日当たりが良い南東方向などの敷地の良い場所に配置しましょう。
伊東さんは「階段の上り下りがない平屋建てが理想ですが、二階建ての場合には寝室を一階にすると便利ですよ」と提案します。


寝室とトイレは近づける

加齢などによる身体状況の変化で車いすの利用や介助が必要になることを考慮し、
トイレや浴室などの水回りは、空間をゆったりと作るのが理想です。
リビングから寝室へ廊下を介さずに移動できるようにしたり、造作家具で室内をすっきりさせたりするなどして、
無駄のない合理的な間取りを検討することもポイントです。  

また、高齢になると夜間にトイレに行くことも多くなるため、寝室の近くにトイレを配置したり、寝室にトイレを併設したりすると便利です。


使いやすく、暖かく、涼しい家に

最近は廊下を計画することが少なくなりましたが、高齢になり足腰が弱ってくると室内移動が困難になることがあります。
今は必要なくても、将来、室内に手すりを設置するかもしれない箇所には「下地」を入れておきましょう。

さらに、リビングやトイレ、浴室などの入り口は、開きドアではなく引き戸にすることで移動が楽になります。
伊東さんは「引き戸は、場所を取らないので合理的な家づくりの基本となります。年をとっても使いやすいのでお勧めです」と話しています。

家は、冬の寒さ対策はもちろん、夏の暑さ対策にも重点をおきたいものです。
「家の性能」を考えた場合、冬のヒートショック対策のため断熱性能の確保は言うまでもありません。

さらに夏場の熱中症対策として、軒を深く出すことで夏の暑い日差しを室内に入れない工夫をすることにより室温上昇を防ぐことができます。


生活の質向上めざす

既存の住宅を介護がしやすいようにリフォームする場合に、設置例が多いのが手すりです。
「手すりを一本つけることで、介助が少なくて済みます。
安心安全に生活でき、生活の質は向上します」と伊東さん。
階段や廊下に設置する手すりは直径35㍉が推奨されていて、最近では手すりのバリエーションも増えています。

住環境を整えることで、高齢者本人が暮らしやすくなるだけでなく、家族の負担も軽減します。
伊東さんは「介護リフォームの方法は、本人の身体状況や住まいの環境によって変わりますので、福祉の知識を持った経験豊富な業者に相談してください」と話しています。 

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