• ジタクのシタク塾 2023.03.24

相次ぐ値上げ ウッドショック、人手不足、エネルギー高…住宅購入への影響は? 省エネ住宅「ZEH(ゼッチ)」って? ファイナンシャルプランナー(FP)が解説

食料品や日用品など値上げが相次ぎ、「次は何が値上げになるだろう?」と不安を抱いている人も少なくありません。
住宅を購入する際も同様で、ウッドショックなどによる価格高騰は気になるところです。
最近では、省エネ住宅ZEH(ゼッチ)や子育て世帯向けの補助金や税制優遇などもあり、上手に活用したいものです。
不動産や住宅購入に詳しいファイナンシャルプランナー(FP)の堀口英隆さんに、物価上昇の影響や対策などについて聞きました。


年々上昇する建設工事費

新型コロナウイルス禍やロシアのウクライナ侵攻、円安などを背景に、建設工事費は値上げが続いています。国土交通省の「建設工事費デフレーター」によると、建設工事費用は年々上昇し、ここ十年で1・2倍となっています。

建物に使用する木材の不足や価格高騰を指す「ウッドショック」は、2021年春ごろから始まり、さらには人手不足による人件費の高騰やガソリン、電気代などのエネルギー高などにより、木材にとどまらず、住宅設備に関わる材料も軒並み高騰しています。

住宅購入を検討している人の中には、30~34坪の小さめの住宅を購入しようという動きも出てきています。「30坪ハウス」などとうたって、小さくても快適な住まいを提案するハウスメーカーもあります。


省エネ住宅で補助金を活用

堀口さんは「住宅そのものを小さくしてコストを抑えるのも手ですが、省エネ住宅を建てて、補助金や税制優遇を活用してみるのもお薦めです」と提案します。
国が2050年までに「カーボンニュートラル」を目指していることなどを背景に、エコに特化した省エネ住宅を建てることで補助金をもらえたり、住宅ローン減税で税額の控除を受けられたりすることができます。

例えば、今月下旬から受け付けがスタートする「こどもエコすまい支援事業」は、高い省エネ性能を有する新築住宅を建てた子育て世帯・若者夫婦世帯に100万円の補助金を支給する制度です。
リフォームする場合も補助を受けられ、子育て世帯や若者夫婦世帯の場合は最大60万円、子育て世帯でなくても原則最大30万円が補助されます。
対象は22年4月1日現在で18歳未満の子どもがいる世帯か、夫婦のいずれかが39歳以下の世帯です。


補助金対象の省エネ住宅「ZEH(ゼッチ)」

高い省エネ性能を有する住宅は、ZEH(ゼッチ)住宅と呼びます。
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス住宅の略で、自らがエネルギーを生み出し、生活に必要な消費エネルギーをまかなうことができる、断熱、省エネ、創エネ住宅のことです。
こどもエコすまい支援事業に適用できるZEH住宅をそろえたハウスメーカーも増えています。

こどもエコ住まい支援事業は、事業者が申請します。
事業者は事前に同事業の登録申請を行わなければなりませんので、利用したい場合は工事の施工事業者にご相談ください。

住宅金融支援機構が提供する長期固定金利型住宅ローン「フラット35」は、2023年4月以降の設計検査申請分から、省エネ基準への適合が必須になり、「フラット35」Sの基準に適合すると0.25%の金利が引き下げられます。
子育て世帯であれば、市町村によってはさらに0.25%引き下げられる可能性もあったり、補助金を受けられたりする場合もありますので、お住まいの市町村に問い合わせてみるのもよいでしょう。


エコと子育てがキーワード

住宅ローン減税は13年間の税額控除、最大1000万円の贈与税非課税といった現行の住宅取得支援税制も引き続き活用ができ、こどもエコ住まい支援事業と併用できます。

堀口さんは、省エネなど高品質な住宅を建てることのメリットとして、①快適に生活ができる②光熱費やメンテナンス費用が安くすむ③資産価値が高くなり、高く売ることができたり貸したりすることができるため、長い目で見てコストパフォーマンスが良い―の3点を挙げ、 「今後、住宅の建設費が下がることが考えにくいですので、さまざまな制度を上手に活用して、質の高い住宅を建てることがポイントです。省エネ住宅を建てれば、光熱費の節約にもつながります。ハウスメーカーも、省エネ基準に対応した商品を取り扱っていますので、まずはエコと子育てをキーワードに調べてみてください」とアドバイスしています。

こどもエコすまい支援事業の問い合わせは同事業事務局、電話0570(200)594(9時~17時受付)

住宅ローン減税、贈与税非課税枠などについての問い合わせは、お近くの税務署へ 

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