• ジタクのシタク塾 2022.07.22

部屋をおしゃれにするこつは? プロがアドバイス

家を建てるなら、インテリアにもこだわりたいと考える人も多いのでは。
東京セキスイハイム山梨支店のインテリアコーディネーター、石原茉里さんと駒井萌さんの2人に、おしゃれな部屋づくりのポイントを教えてもらいました。


まずはコンセプトを固める

まずは、具体的にどんな部屋にしたいのかを考えることから始めましょう。ナチュラルな感じにしたいのか、モダンな感じにしたいのかなど、事前にコンセプトを固めておくことで、色選びや家具選びに指針ができて、部屋に統一感が生まれやすくなります。

最近は住宅メーカーがホームページなどで公開している施工事例や雑誌のほか、インスタグラムなどでも参考になる写真がたくさん見つかります。それらを見比べて、自分や家族の趣味、暮らし方に合いそうな部屋を探してみてください。

写真があれば言葉では伝わりづらいニュアンスを伝えることができるので、住宅会社との打ち合わせや家具選びなどがスムーズになりますし、イメージがうまく伝わらずに失敗することも少なくなります。無理に家全体を一つのコンセプトでまとめる必要はないので、家族の希望に合わせて部屋ごとにイメージを変えるのも面白いと思います。


「ベース」「アソート」「アクセント」 色のバランスを意識

部屋のコンセプトが固まったら、色のバランスを考えます。

インテリアは、床や壁など最も広い面積を占める色「ベースカラー」、家具や敷物などの色「アソートカラー」、雑貨や小物などの色「アクセントカラー」の三つに分けて考えるのが基本です。一般的には、それぞれの比率が、ベースカラー70%、アソートカラー25%、アクセントカラー5%で、全体の70~80%をベーシックにまとめて、残りの20~30%で個性を表現するとバランスが良いとされています。

写真①

写真①の部屋は、ベースカラーに淡いグレーを選択。アソートカラーを色味の違う濃いグレーや茶色でまとめています。ベースカラーとアソートカラーを同系色でまとめ、シンプルでシックな印象を演出しています。

新築したばかりの部屋なので小物は置かれていないですが、例えばここに春~夏の季節にアクセントとしてブルーやグリーン系のクッションやアートなどを取り入れると、爽やかで涼しげな演出ができるとともに、空間のスパイスとなるので、お部屋の完成度もぐっと上がります。

写真②

写真②はナチュラルをコンセプトに仕上げた部屋です。ベースカラーを茶色と白の優しい色味にして、アソートカラーは生成りのベージュと淡いグレー。観葉植物とクッションで、アクセントカラーの緑を取り入れています。


変更しやすい小物で流行を取り入れる

色選びは配色比率の大きいベースカラー、アソートカラー、アクセントカラーの順に考えていくのが定石ですが、主役にしたい小物がある場合などは、アクセントカラーから組み立てていく方法もあります。

写真③

写真③は、おしゃれなカフェのような雰囲気にしたいとのご要望に合わせて、キッチン上の照明を主役にして、ほかの色味のバランスを整えました。

形が特徴的なスチールとガラスのライトが映えるように配色を逆算し、アソートカラーはキッチンのダークグレーやカウンターと柱のダークブラウン、ベースカラーは床のバーチグレーと壁紙のホワイトでまとめています。

紹介した三つ例のように、「シンプルでシックな印象の部屋」(写真①)、「ナチュラルで落ち着く部屋」(写真②)、「おしゃれなカフェのような雰囲気の部屋」(写真③)など住みたい部屋のコンセプトに合わせて、ベースカラー、アソートカラー、アクセントカラーの配色を組み立てていくと、部屋がまとまりやすくなります。

ベースカラーやアソートカラーの変更は、費用が高くなりがちです。床や壁紙、キッチン、大型家具などは長く付き合える色を選び、比較的変更が容易かつ安価で済むインテリア小物やクッションなどのアクセントカラーで流行を取り入れるのがお勧めです。


照明選びは用途に合わせて

照明でも部屋の印象が変わります。
照明には色温度というものがあります。色温度とは光の色を表す指標のことで、高いほど青みがかった白い光に、色温度が低いほど暖かみのあるオレンジがかった光になります。
色温度の高い光は、集中力を高めるため文字の読み書きなどに向いています。
一方、低い光はリラックス効果があり、赤や黄色など暖色系の色を引き立たせるため、料理をおいしく見せる効果もあるとされています。

部屋の用途に応じて、照明の色を考えるといいでしょう。色温度を自在に変更できる照明器具や取り付け器具もあるので、リビングダイニングなど時間帯で用途が変わる部屋には、そういった器具を採用するのもお勧めです。
同じ色の家具や小物でも、採用する照明によって色の見え方がガラッと変わります。
模様替えで部屋のイメージを大胆に変えたいという場合は、照明を変えてみるのも一つの方法になります。
色温度が高いとパッと全体的に明るい雰囲気に。色温度を低くするとカフェやレストランのような落ち着いた雰囲気を作り出せます


デザイン性の高い壁紙は狭いスペースのアクセントに

花柄、ドット、動物柄など海外から輸入される輸入壁紙を中心に、デザイン性が高く、個性的なものが数多くあります。
個性的な壁紙を生かすために押さえてほしいポイントがあります。

デザイン性が高く個性的な壁紙を、リビングの壁など広いスペースに使うのは少しハードルが高いです。もちろん人によって好みはありますが、ほかの家具や小物と調和させるのが難しいですし、生活の中心になるスペースの壁紙を派手にすると、生活の中で気疲れしてしまうかもしれません。
おすすめなのが、滞在時間が短めで、そこまで広くないスペースでアクセントとして用いる方法です。

例えばトイレ。滞在時間は短いですが毎日使う場所なので、せっかくの壁紙がもったいないと感じることもないでしょう。また、基本的に仕切られているので、ほかの空間のテイストと喧嘩することがないですし、扉を開けてお気に入りの壁紙が目に入ると気分が上がります。
使い方は、四方に貼ると圧迫感が出てしまうので、1面だけにとどめるのがおすすめ。その際、ほかの壁面に使う壁紙を白無地などシンプルなものにすると、デザインがより強調されて効果的です。


リビング、ダイニングからパントリーの壁紙をチラ見せ

パントリーや書斎に使うのもいいと思います。トイレと同様、滞在時間は短いですが日常的に使う場所で、壁面積も広くないので失敗が少ないです。パントリーに使う場合、キッチンとパントリーをあえて壁や扉で仕切らず、開口部を通じてダイニングやリビングからチラッと見えるようにするのもおすすめです。

今は、個性的なデザインのものだけでなく、タイルや木材の質感を再現したものなど、数えきれないほど多くの壁紙が流通しています。壁紙なら実際に壁面をタイル地などにするより施工が安価ですし、劣化しても張り替えられるため維持も楽です。

紹介したような、「滞在時間が短めで、そこまで広くないスペースで、アクセントとして使う」という方法であれば、個性的な壁紙でも失敗が少なく、取り入れやすいと思います。これから家を建てる方も、すでに家を持っていて思い切った模様替えをしたいという方も、ぜひ、お気に入りの壁紙を探してみてはいかがでしょうか。


小物の配置は「トライアングル」に

新築でも模様替えでも使えるテクニックですが、実は小物の置き方だけでも部屋の印象を変えることができます。
お勧めなのが「トライアングル」と呼ばれる置き方。文字通り、三角形を作るように高さの違う小物を配置していく方法です。
例えば、背の高い小物一つと背の低い小物二つがある場合、真ん中に背の高いものを置いて両脇に背の低い小物を置きます。

写真の例では、造作の玄関収納やステンドグラスとも調和するよう小物をブラックカラーのアイテムでまとめ、統一感を出しています。
中央のフラワーアレンジメントで華やかさを演出するとともに、両側のアイテムと高低差をつけることで立体感を表現して、バランス良く見せているのがポイントです。

また、小物のテイストをそろえてあげるのも大切です。
極端な例えですが、もしフランス人形とロボットのプラモデルが同じ場所に置かれていたら少し違和感があると思います。
フランス人形はフランス人形、ロボットはロボットといった感じで、場所によって飾るもののテイストをそろえるだけでだいぶ印象が変わると思います。


家具選びの前に自分の部屋を知ろう

実際に家具や小物を選ぶ際は、家を建てた住宅会社に所属するインテリアコーディネーターに相談できるなら、それが一番確実です。間取りなど家の事情を把握しているので、的確なアドバイスをしてもらえるはずです。

ただ、相談が難しい場合や、自分や家族で一から部屋をつくりたいというような場合もあると思います。そういう場合は、家具店に行く前に部屋の写真を撮影しておいたり、可能なら間取り図を持参したりして、現状の部屋の雰囲気や寸法を正確に伝えられる準備をすると良いでしょう。

色や雰囲気が気に入っても、部屋に対して大き過ぎたり、小さ過ぎたりするケースは多々ありますし、カーテンの場合は長さが合わないなんてこともあり得ます。
部屋に配置した後に「イメージと違った」と後悔しないように、しっかりと準備することが大切です。


ジタクのシタク塾講師

石原茉里さん(写真左)
駒井萌さん(同右)

共に東京セキスイハイム山梨支店インテリア課のインテリアコーディネーター

失敗しないシタク