• ジタクのシタク塾 2022.05.18

輸入住宅の魅力は? 基本からプロに聞く

旅行先やドラマ、映画などで海外の住宅を目にして、こんな家に住みたいと思った経験がある人も多いのでは。
そんな時に選択肢になるのが輸入住宅ですが、「地震の多い日本で海外の住宅は大丈夫なのか?」などの疑問もあります。
数多くの輸入住宅を手掛けているメープルホームズ山梨の長田正行さんに、「そもそも輸入住宅とは?」など基本から解説してもらいました。


海外の設計思想や工法採用 大部分に輸入材

何をもって輸入住宅と呼ぶのか、実は明確な定義がある訳ではありません。
非常に奥が深く一口に説明するのはとても難しいのですが、一般的には、海外の設計思想に基づき、海外から輸入された部材を60%以上使用して、海外の工法で建てられた家が輸入住宅と呼ばれています。

輸入住宅を一般的な日本の住宅と比較した際に、最も顕著な違いは使用される工法です。
日本の住宅では木の柱と梁で骨組みを組む「木造在来工法」が採用されることが多いですが、輸入住宅では主に「2×4工法」(ツーバイフォー)や「2×6工法」(ツーバイシックス)(※)が用いられます。

※米国で生まれたとされる木造住宅の工法の一つ。規格化された均一サイズの角材と合板を組み合わせたパネルで建物を支える。使用されていた角材の大きさが名前の由来で、角材のサイズに応じて、2×6、2×8(ツーバイエイト)などと呼び方と特徴が変わる。


面で支える「2×4」 高い耐久性と気密性

木造在来工法が柱など軸で家を支えるのに対し、2×4などは床・壁・天井の各面を枠組パネルで構成し、それぞれを固く結合した6面体で建物を支える構造です。
点ではなく面で住宅を支えるため、地震や台風などで住宅に掛かる負荷が分散されるなど、優れた耐久性があります。
海外の住宅は地震の多い日本にマッチするのか、という疑問を持たれる方もいますが、輸入住宅は地震に強いと言えます。

また2×4工法の特徴として、特別な工夫を施さなくても気密性が高くなりやすいということもあります。
気密性が高い住宅は室内の空気が漏れにくく外気も侵入しにくいため、夏は涼しく、冬は暖かい住環境を実現しやすいです。冷房・暖房効率も良くなるので、省エネルギーや節約にも効果的です。
代表的な輸入住宅である北欧、北米スタイルの家は、日本よりはるかに寒い地域で人々の暮らしを支えてきました。厳しい環境で快適に暮らすための工夫を取り入れられるのも、輸入住宅の魅力です。


「長く住む」前提の普遍的なデザイン

そして輸入住宅を語る上で欠かすことができないのがデザインです。
海外では長く住んで、複数世代で家を住み継ぐという考え方が主流です。フランス・ニースのスタイル、アメリカ・ニューヨークのスタイル、北欧のスタイルなど、地域ごとに特徴や違いがあるので一概には言えませんが、多くは木材やレンガなど素材の良さを生かしたつくりで、経年での変化を味として楽しめるように工夫されています。
また、輸入住宅の多くはそれぞれの地域で長い歴史を持ち、愛されてきた家がベースにあります。普遍的なデザインなので、流行り廃りには影響されにくいです。
また、輸入住宅は一般的な日本住宅よりゆったりとつくられていることが多いです。
廊下や空間が広く、間仕切りの少ない間取りや吹き抜けを採用すると、さらに開放的な雰囲気が味わえると思います。


広い選択肢で理想に近づく

建材を世界各地から輸入するため、デザインの選択肢が広いことも特徴と言えます。
例えば、住宅用塗料一つとっても、日本で生産されているのは数百色程度ですが、世界では数千色も流通しています。
自分の中で明確にこういう色を使いたい、こんなデザインの家に住みたいという強いこだわりがあり、妥協したくないという方には特にお勧めできます。
ただ、輸入に時間が掛かってしまうケースもあるので、急いで家を建てたいという人には向かないかも知れません。


メーカー選びは慎重に

旅行先や映画などで「こんな家に住みたい」と思うデザインと出合い、真剣に輸入住宅を検討するようになったら、メーカー選びは慎重に行う方が絶対にいいです。
一口に輸入住宅と言っても、フランス風やアメリカ風などスタイルによって全く別物です。輸入住宅の定義があいまいで奥が深く、選択肢が広い分、メーカーによっては得手不得手があるかも知れません。
メーカーや工務店の施工例を調べたり、理想を伝えて打ち合わせをしたりして、自分のイメージに合っているかを確認してから契約することをお勧めします。


ジタクのシタク塾講師

長田 正行さん

メープルホームズ山梨社長

失敗しないシタク