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ジタクのブログ NEW 2025.06.12
都会では考えられない!? 山梨暮らしで遭遇するカルチャーショック5選

自然の豊かさと利便性を兼ね備え、「ちょうどいい田舎」として注目を集める山梨県。実際に移住して「田舎暮らし」をしてみると、意外なカルチャーショックを感じることもあるかもしれません。今回は、Uターンによる移住経験を持ち、東京と山梨の2拠点で活動するライター(富士吉田市出身)が、実体験を交えながら移住者が遭遇しやすいカルチャーショックについて語ります。
目次
県外に出てみてわかった、山梨ならではの文化
高校卒業まで地元の富士吉田市で暮らした私は、大学と社会人生活の計10年を東京・神奈川で過ごしました。2015年にUターンして再び暮らし始めた山梨でしたが、大人になって改めて暮らしてみると、「これってもしや山梨独特の文化だったの?」と気づくこともしばしばでした。現在は東京との2拠点という形ですが、毎週山梨を訪れ、リアルタイムで都会と田舎の両方の暮らしを体感している私の視点で、「都会から山梨に移住した人にとっては、カルチャーショックかも…」という内容をご紹介していきますね。
1. 回覧板が健在!活発な自治会・町内会活動
まずは、山梨では自治会・町内会の活動がまだまだ盛んという点です。地域にもよりますが、各自治会・町内会の中では「班」(もしくは「組」)と呼ばれるご近所同士の小グループが組織され、活動の最小単位となっています。班では、地域の催しなどを告知する回覧板をまわしたり、ごみ・資源収集の拠点(ごみステーション)の管理なども行います。市町村の広報や議会だよりなども、班のリーダーがまとめて受け取り、各家庭に配布するしくみになっています。
私が居住している都内のある自治体では、自治会・町内会の活動は低調。月に2回、自治体の広報紙が全戸にポスト投函され、そこにさまざまな情報が集約されています。ごみや資源は戸別収集なので、自宅の前に置いておくだけ。正直、ご近所との関わりは薄いと思います。昭和の時代より衰えたとはいえ、山梨ではまだまだ自治会・町内会が存在感を発揮。近所に自分のことを気にかけてくれる人々がいることは、移住者にとってはカルチャーショックかもしれません。
2. 1人1台!仕事もプライベートもクルマが主役
そして、多くの地方で同じことが言えるかと思いますが、山梨の「クルマ社会」ぶりにもカルチャーショックを覚えるかもしれません。JR中央本線や身延線、私鉄の富士急行線といった鉄道はあるものの、運行頻度はそれぞれ1時間に1本~数本程度。日々の移動はクルマが基本になります。仕事に行くにも、買い物に行くにも、クルマは欠かせない存在です。5分おき、10分おきに鉄道やバスが運行している都市圏では考えられないことかもしれませんが、「クルマは1人1台」と言っても過言ではありません。
当然、車両の購入費用やガソリン代、オイル交換などのメンテナンス費用、加えて車検費用や税金(自動車税・軽自動車税、自動車重量税)など、クルマを保有するためにはそれなりのお金がかかります。しかし、クルマがあることで行動範囲がぐっと広がるのは大きなメリット。県内はもちろん、隣県であれば気軽に日帰りで出かけることも可能ですし、旅行へのハードルがぐっと下がります。
3. 意外な冬の寒さと“灯油文化”にびっくり?
「甲府盆地の夏は暑い!」というイメージを持っている方も多いかもしれませんが、実は冬も寒いのが山梨。最も寒くなる1月の場合、最低気温の平均は東京で1.2℃なのに対して、甲府は-2.1℃、標高の高い河口湖では-5.7℃です。まさに、山梨では氷点下の冷え込みは当たり前なので、カルチャーショックを受ける方もいるでしょう(ちなみに、河口湖では12月から3月まで、最低気温の平均は一貫して氷点下です)。
最近少しずつ普及してきた高気密・高断熱の住宅は例外ですが、エアコンだけではこの寒さをしのぎきることはできません。県内ではファンヒーターやストーブなど、灯油を使った暖房器具が主力。どこの家庭にも18リットルの灯油ポリタンクが常備されています。秋が深まり、灯油を買いにガソリンスタンドやホームセンターを訪れるときは、「いよいよ冬が来るな…」と実感させられます。私は冬が嫌いですが、ストーブから漂う灯油の香りと、朝日に照らされて紅に染まった冬の富士山は大好きです。
4. 深夜営業はレアケースだが、コンビニは多め
あまり夜遅くまでお店が営業していないのも、都市圏からの移住者にとってはカルチャーショックかもしれません。例えばスーパーなら、午後9時~10時を閉店時刻としているところが多く、店舗によっては午後8時に閉まってしまうところも。深夜まで営業していたり、24時間営業をしているような店舗はごくごくわずかです。居酒屋も翌日未明まで営業しているような店は少なく、午後11時までには多くの店舗がラストオーダーを取っている印象です。夜更かしや深酒をせず、健全な暮らしが送れると考えると、意外とメリットだったりするかもしれません。
一方で、山梨はコンビニエンスストアの数が多い県です。NTTタウンページ株式会社が2022年に行った調査によると、人口10万人あたりのコンビニの数は53.34店舗で全国2位。「朝食のパンと牛乳を買い忘れた!」となっても、クルマでコンビニへ…という対処もしやすいでしょう。
5. 怒られてる!? ちょっと語気強めな甲州弁
カルチャーショックといえば、やはり言葉ですよね。「~しちょ(=~しないで)」「からかう(=時間をかけて取り組む)」「持ちに行く(=取りに行く)」など、甲州弁には意味を類推しにくい言葉もあり、甲府盆地を中心とした「国中(くになか)」と、東部・富士五湖エリアの「郡内(ぐんない)」では少し使われている言葉が異なりますし、戸惑う方も少なくないと思います。
とくに年配者はやや語気が強めな人が多いので、「おまん、どこのシでぇ?(=あなたはどちらの方ですか?)」などと急に言われると「怒られている?」と感じることもあるかもしれません(本人的には通常運転です)。若年層はそこまで方言を使わなくなっていますし、少しずつ慣れていきましょう。ちなみに、私がいちばん好きな甲州弁は「いいさよぉ(=大丈夫。気にしないで)」です。
カルチャーショックはやがて、山梨での日常のワンシーンに
ここまでご紹介したような、山梨に移住して感じるカルチャーショックの数々は、最初は驚いたり、戸惑ってしまうかもしれません。ですが、山梨での田舎暮らしに慣れるにつれ、それが日常のワンシーンになり、むしろ愛着がわくことも多いと思います。この記事が、あなたの移住後の暮らしを具体的にイメージするヒントになれば幸いです。