• ジタクのブログ NEW 2025.05.21

山梨に移住したら何が変わる? 移住経験者の“暮らしのリアル”を公開!

移住先として注目を集める山梨県は、豊かな自然と都市機能が調和した「ちょうどいい田舎」。「移住は気になるけれど、実際のところはどうなんだろう?」―と感じている方も多いかもしれません。今回は、東京から山梨にUターンした経験を持ち、現在は東京・山梨の2拠点で活動しているライター(富士吉田市出身)が、移住で体験した暮らしの変化についてご紹介。通勤や買い物・人間関係からお金の使い方まで、「移住後の生活」のリアルをお届けします。

通勤・働き方編:山梨への転職で、働くことへの心身の負担が減った



毎日の満員電車から解放!通勤時間が1/4に

 私が山梨へUターンしたのは、2015年。それまでは東京都世田谷区にある私鉄沿線の自宅から、渋谷区にある職場まで毎日通勤していました。最寄り駅までの徒歩や乗り換えの時間などを含めると、所要時間は片道1時間弱。朝晩の電車内は混雑を極めるため、空いている車両を探したり、とくに混みあう「急行」などの優等列車を避ける工夫をしていました。

 Uターン後の新しい勤務先は、富士吉田市の自宅からクルマで10分ほどの場所にありました。朝は多少渋滞する時間帯もあるものの、それでも20分もかからずに職場に到着。これだけを取っても、働くことへの負担がかなり軽減されたと思います。

 

地元企業への転職 上長にも意見しやすい職場だった

 都内では雑誌編集者として出版社に勤務していた私。常に緊張感を持ちながら業務に取り組み、自分を成長させてもらえた職場でしたが、心身ともに疲れ切っていました。

 Uターンにあたって転職したのはサービス業。給与は前職より年収にして100万円ほど下がりましたが、接客という職種の影響もあってか、いわゆる心理的安全性の高い環境でした。従業員同士の人間関係が濃く、上長や経営層にも気兼ねなく意見を言える間柄。社員旅行や社内運動会などで、同僚と交流を深めることもできました。

 

生活コスト編:家賃や食料品にかかるコストがぐっと減少


劇的に変わった毎月の家賃 都内の半額以下に

 生活費の変化の中でも、インパクトが大きかったのは家賃です。都内での家賃は63,000円。最寄り駅から徒歩23分という距離で、なおかつシェアアパートメントだったので、近隣の相場よりかなり安い金額ではありました。

 富士吉田市で借りたアパートの家賃は25,000円。築20年の質素なワンルームでしたが、窓からは富士山を望めるうえ、水道代(井戸水)と駐車場は無料という好物件だったため、毎月の支出を抑えることができました。

 

やっぱり安い地元産の農畜産物 「おすそ分け」もしばしば

 一方で、日々の燃料費や2年ごとの車検費用など、移動の足である自家用車を所有するためのコストは、都内では経験しなかったまとまった出費でした。

 そのほかの生活必需品は、都内と比べてさほど価格の違いはありませんでしたが、生鮮食料品は別。県内産の野菜・果物、精肉や鶏卵などの農畜産物はかなり安く感じました。職場のメンバーや親戚などからの「おすそ分け」もしばしばあり、とくに夏場は桃・ぶどう、とうもろこしにトマト、きゅうりにズッキーニなど、食べきれないくらいいただいたこともありました。

 

生活環境編:クルマとネット通販活用で買い物に不便はなし!




クルマ移動だから、県内各地へ買い物に行ける

 続いては、移住後の生活環境についてお話しします。当然、東京と比べて、山梨には買い物スポットは多くありません。ただ、先ほど触れたように、山梨での移動手段はクルマが主役。徒歩と公共交通機関では行けないような場所にも、気軽にアクセスできます。

 私の住んでいた富士吉田市からは、百貨店などがある甲府の市街地までクルマで1時間弱。さらに20~30分ほど走れば、大規模ショッピングモールのある昭和町や、2025年に「コストコ」がオープンした南アルプス市にもアクセス可能なので、思ったよりも買い物に苦労はしませんでした。

 

手に入りづらいものはネット通販 都内にも気軽にお出かけ

 そうは言っても、山梨ではなかなか手に入らないものはあります。そんなときは、Amazonなどのネット通販を活用。多くのものが都内に住んでいたときと変わらないスピードで手元に届きます。

 そして山梨に住んでいることの強みは、鉄道や高速バスを使って気軽に都内に行けること。富士吉田市からは高速バスで新宿まで2時間弱なので、十分日帰りが可能。私も、都内の友人に会ったり、買い物のために頻繁に出かけていました。

  

地域との関係・価値観編:自主性を持ち「いまあるもの」を生かして暮らす生活に

地域の人たちと一緒に「自分たちのことは自分たちでやる」

 次に、地域との関係についてです。Uターンしてみて、東京などの都市圏と比べた山梨の「人と人との結びつき」の強さを改めて感じました。消防団や自治会・町内会などの活動が盛んな地域が多く、ボランティア活動行動者率は21.1%と、全国13位の水準(※)。住む場所にもよるので一概には言えませんが、都内のように充実した行政サービスに守られた生活ではなく、地域の人たちとともに「自分たちのことは自分たちでやる」マインドがあれば、暮らしやすいと思います。

 ※2021年 総務省統計局「社会生活基本調査」

 

移住して得られた、「いま持っているものを生かして暮らす」という視点

 私の場合、Uターンを通して最も変わったのは、大げさかも知れませんが人生への価値観だと思います。「いま持っていないものを得るために、仕事を中心に暮らす」のではなく、「いま持っているものを生かして、仕事もしながら暮らす」という生き方を志向するようになりました。もちろん、仕事を通して自己を磨き、成長を続けることは重要ですが、地に足をつけて、身の丈に合った生活を送るという視点も大切。そこに気づけたのは、山梨という環境と、地域の人々のおかげだと思っています。

  

山梨で見つける、自分らしい「ちょうどいい暮らし」

山梨にUターン移住して筆者が体感した暮らしの変化は、もちろん良いことばかりではありませんでした。ただ、「ちょうどいい田舎」の山梨だからこそ、無理のない等身大の暮らしを実現できたと改めて感じています。Iターン、Jターンなど、移住のスタイルはさまざま。どうかみなさんも、山梨で自分らしい移住生活を見つけてください。

失敗しないシタク